ヤングマガジン連載の漫画「雪女と蟹を食う」第1巻のあらすじと感想です。
ネタバレを含みますのでご注意ください。
雪女と蟹を食う|基本情報
作品名 | 雪女と蟹を食う(読み方:ゆきおんなとかにをくう) |
作者 | Gino0808(@Gino0808)(読み方:ぎのぜろはちぜろはち) |
出版社 | 講談社 |
ジャンル | ミステリー、サスペンス、ホラー、不倫、官能 |
連載 | ヤングマガジン |
ジャンルは1巻の時点では正直よくわかりません。ごめんなさい。
謎が散りばめられていて、徐々に回収してくのでミステリー・サスペンスに分類しました。
雪女と蟹を食う|第1巻の登場人物
北 (きた)
「雪女と蟹を食う」の主人公。27歳。
本名は不明。名前を聞かれて偽名の”北”と名乗る。
自暴自棄になって死のうとするも死にきれず、たまたま見たテレビ番組がきっかけで北海道に蟹を食べに行くことにする。
翌日、図書館で出会った金持ちそうな女を襲う。そして、なぜかその女と蟹を食べに行くことになる。
雪枝彩女(ゆきえだ あやめ)
「雪女と蟹を食う」のヒロイン。三十路。
図書館でたまたま出会った北に目をつけられ襲われる。
行為が終わった後に北の話を聞き「蟹を食べに行く」という話に興味を持ち一緒に食べに行くことにする。
雪女と蟹を食う|1巻のあらすじ
1巻に収録されている話のあらすじをまとめます。
ネタバレを含みますのでご注意ください。
自暴自棄男と雪女の出会い
ある夏の日、自暴自棄になり首を吊って自殺をしようとするも踏ん切りがつかず生きながらえていた男がいました。
その夜、テレビの番組でリポーターが蟹を食べる姿を見て、人生で一度も蟹を食べたことがないことを思い出します。そして、死ぬ前に蟹を食べたいと願います。
翌日、男は蟹を食べに行くために図書館で北海道までの道のりや旅費を調べに行きました。
そこで、右手人差し指に大きなダイヤの指輪をしている金持ちそうな美女とぶつかります。女は図書館の近くの高級住宅街に住んでいる人妻でした。
旅費が足りなかった男は”どうせ死ぬから”と金持ちの女を金品目的で襲います。
すると、女は金も支払うし身体も好きにしていいから乱暴だけはしないでくれと頼んできました。
男は望み通り、乱暴はしないかわりに女を抱きます。
行為が終わると女は微笑みました。その笑顔を見て、男は雪女が現実にいたらきっとこんな顔で笑うのだろうと思います。
そして、男は我に返り、後悔しながらも襲った目的を話します。
- 自暴自棄で死のうとしていること
- 死ぬ前に北海道に蟹を食べに行こうとしていること
- 北海道に行くまでの旅費が足りなくて襲ったこと
この話に興味を持った女は男と一緒に蟹を食べに行くことにしました。
襲った男と襲われた女の二人旅
襲った男と襲われた女という異様な状態の二人旅が始まります。
男は偽名で”北(きた)”と名乗り、女は本名の雪枝彩女(ゆきえだ あやめ)を名乗りました。
二人は蟹を食べるために車で愛知から北海道を目指します。
車は彩女が運転しました。
助手席に座った北は官能的な彩女の姿を見て悶々とします。
最初の夜はラブホテルに泊まることにしました。
そこで彩女は北になぜ自殺をしようとしているのかを問います。
北は前向きに「死」を選んだことを告白します。
自分にとって、最善の選択が「死」であったと。
そして、彩女のことを抱きました。
残念ながらビールを飲んだせいでフィニッシュはできず…
行為が終わった後に、北は彩女に出張中の旦那はいつ帰ってくるのかを聞きます。
しかし、彩女は「あの人のことは考えたくない」と言い眠りにつきました。
翌日、彩女の携帯に旦那から電話がかかってきます。
彩女は「いま出先だから」と半分嘘をついて電話を切りました。
北の過去がフラッシュバック
旅も順調に進み、栃木まできました。
彩女はガイドブックを買い、日光観光を計画します。
しかし、お昼を食べたとき、北はガイドブックをお店に忘れてきてしまいました。
のちに、日光東照宮で自分が忘れたガイドブックを手に持った女子高生に出会います。
ちょうどお昼を食べたお店を出るときにすれ違っていたので覚えていたのです。
女子高生にガイドブックを返して欲しいと北は言いますが、女子高生からは若い女と話したい変態扱いをされてしまいます。
そのとき、北は鼓動が早くなりました。女子高生に痴漢冤罪をかけられた過去がトラウマになっていてフラッシュバックしてきたのです。
汗ばみ黙る北のところへ彩女がやってきて女子高生からガイドブックを1万円で買いました。
物語が動き出す
北と彩女は中禅寺湖へ行き休憩をすることに。
そこで彩女は北に提案します。
「大人の夏休みしちゃいましょうか」
そして、北はこの夏の終わりが、夏休みの終わりが自分にとって「死」より残酷な「死」が待っていることに気が付いたのです。
雪女と蟹を食う|1巻の感想
表紙の美女でヒロインの彩女と「雪女と蟹を食う」というタイトルがまず強烈ですよね。
そして、第1話を試し読みしたところ、自暴自棄になった男と乱暴された人妻がなぜか一緒に蟹を食べに行くという謎展開の続きが気になって1巻を購入しました。
大当たりの作品でした。
静かに物語が始まり、途中から激しくうねりをあげて読者を巻き込む漫画です。
正直に言えば、最初はちょっとエロい漫画なのかなーと下心だけで読み始めましたが、途中からぐいぐいストーリーに引き摺り込まれて、無我夢中で読み進めました。
「雪女と蟹を食う」はエロだけじゃないんだぜ!
1巻のオススメポイント①:官能的な北と彩女の絡み
エロだけじゃないんだぜとカッコつけましたが、やっぱり見所の1つはエロです(笑)
「雪女と蟹を食う」は最初の出会いからいきなり肉体関係を結び、旅の途中も夜は性的な描写が多く描かれます。
しかも、ただエロいだけではなく、官能的なエロさです。奥ゆかしさや肉体関係以上のものを求め合います。
そして、1巻の後半は精神的な繋がりも生まれ始めます。
彩女は結婚しているので北とは完全に不倫関係です。
この関係がいつまで続くのかと思いますが、彩女の態度を見ていると旦那さんとはうまくいっていなそう。
今後、彩女と北がどのような関係に発展していくか注目です。
エロはあくまでフック。本当のテーマは別にあります。
1巻のオススメポイント②:人はなぜ生きるのかを問いかける
「雪女と蟹を食う」の作品のテーマは「生きるとは何か」だと思います。
北は女子高生から痴漢冤罪で逮捕され懲役4ヶ月の判決を受けた過去があり、トラウマになっています。
女子高生を見ただけで事件がフラッシュバックして鼓動が早くなるほどトラウマです。
ここまでトラウマになった理由は、自分の冤罪を誰も信じてくれず友人を失い、親兄弟まで逃げ出して自分の人生はなんだったのだろうと思い悩みます。
これが1巻冒頭から続く、北が「死」を選ぶ理由の1つなのでしょうか。そこはまだはっきりしていません。
ただ、北が「死」を選ぶきっかけになっているのは間違いなさそうです。
人はなぜ生きるのか。
北はひとりぼっちになった時に自問自答を繰り返したのでしょう。
本当は生きていたのに、世界に一人になった気になってしまう。誰かとの繋がりが欲しい。生きる意味とは何か。
このようなテーマを投げかけてくる作品だと思います。
重厚なテーマを描いている作品です
1巻のオススメポイント③:彩女の過去にも注目
1巻は北の過去描写がメインだったので彩女はまだまだ謎多き女性です。ミステリアス。
1巻では少しだけ情報が出てきています。
- 豪邸に住んでいて、旦那は作家
- 旦那から「生きた図書館」と呼ばれる
- あまり旅行に行ったことがないっぽい
特に後半、中禅寺湖で北に言った以下のセリフが引っかかりました。
「見たことのない景色を見て、美味しいものをいっぱい食べて私なんだか少しワクワクしてきちゃいました」
お金持ちだから旦那と旅行とか行ってそうなのにあまり行っていないのかなと感じました。
そして、旦那との仲もあまり良くないのかもしれないと、情報が少ないので妄想ばかりが膨らみます。
2巻では彩女の過去が語られることに期待したいです。
ミステリアスな女性、大好きです!
余談ですが、私の妻も出会った頃は何を考えているのかよくわからないミステリアスで美人な女性でした。(そういうことじゃない?)
1巻のオススメポイント④:キーワードは「大人の夏休み」
「雪女と蟹を食う」の作品のキーワードは「大人の夏休み」です。
そして、1巻を読んだ時点で「大人でも立ち止まって人生を見つめ直してもいい」という意味が込められていると感じました。
これは作品のテーマでもある「人はなぜ生きるのか」にもつながりますね。
北は自分の人生を悲観して「死」を選ぼうとしていますが、彩女と関わりながら自分を見つめ直そうとします。
彩女も北を通じて何かを得ようとしているようです。
この後、北と彩女がどのような結末を迎えるのかまだわかりません。
ですが、大人でも辛い時には立ち止まり自分自身や人生を見つめ直すことができるということを、作品を通じて伝えてくれるのではないかと感じました。
北も最終的にはいい未来が待っていますように。
「大人の夏休み」ってセリフを見たとき、正直、心が震えました…
大人版「惡の華」という印象です。
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「雪女と蟹を食う」の第1話はヤングマガジンの公式サイトで無料で試し読みができます。
ちょっとでも気になったらとりあえず1話を読んでみてください。
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まとめ
「雪女と蟹を食う」第1巻のあらすじとレビューでした。
- 自殺志願者の男が最後の望みとして蟹を食べたいと願う
- 資金確保のために金持ちの人妻を襲ったら一緒に蟹を食べに行くことになる
- 秘密を抱えた二人の奇妙な旅が始まる
- 「大人の夏休み」を通して人生を見つめ直す
大人のエロスや官能的な描写も多いですが、それ以上に「あなたの人生って何?」というテーマを投げかけてくる作品だと感じました。
物語への導入部分なのでこれからどのようにストーリーが展開していくのかわかりませんが、傑作になる予感しかしない漫画です。